08 of MTTBura

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時は古代エジプトの物語。
萌えに導かれて。
できあがった捏造話。

雨季のナイルは川の氾濫に見舞われる。
しかしそれは肥沃な土地を作り出す、恵みの水だ。
人々は乾期を待ちながら、この季節の間にやっておかねばならない仕事に追われる。
しかしここに、憂鬱に太陽の季節を待ちわびる男がひとり。

「福井ラダメス~!父上が王女のところへ行けとうるさいから、兄さんと一緒に行こうっ」

自室で書物に目を通していたやや額の広い青年が、溜息と共に顔を上げた。
遠慮なく入ってきた大柄の青年は、福井ラダメスと呼んだ弟の視界を遮るように顔を近づける。

「溜息をつくと幸せが逃げるぞ、例えばお前の前髪の如く…」
「余計なお世話だ」

不愉快そうに眉を寄せるが、お構いナシに弟の肩を抱く兄は笑顔で話題の額に唇を押し当てた。

「…阿久津ラダメスッ」

本気で威嚇する弟の鋭い視線が、この兄はどうしようもなく好きなのだ。
そして、兄・阿久津ラダメスのそんなところが、弟・福井ラダメスの悩みの種である。
だから、この何かにつけてじゃれたがる兄に付き合わなくていい季節が待ち遠しいのだ。
乾季になり出征すれば、兄の顔を見る機会は激減する。

そして、そんな福井ラダメスの頭を薄くする…じゃなくて頭を悩ますものがまたひとり…。

「私は王女のもとへ行けと言ったのに、どうして兄弟で乳繰り合ってるんだ」

突如、不幸顔の将軍・福井ラダメスの部屋の温度が上がる。
父(と、黒い集団)がやってきたためだ。

「そんなことしてませんっ!!」
「父上、可愛い弟が俺に行かないでくれと言うので仕方なく…」
「言ってないっ!!」

福井ラダメス将軍の悩みの種は…ナイルのほとりの豊かな土壌に根付く小麦の如く成長していくのだった。

END
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