09 of MTTBura

MTTBura > 09

ナイルのほとり、豊かな土地に文明を築くエジプトに、今日も穏やかな夜が訪れようとしていた。
エジプトの軍勢を率いる将軍・福井ラダメスはひとり、まだ見ぬ土地へ思いを馳せる。

しかし、静かな夜は破られた。
廊下を騒がしく近付いてくる気配に、端整な顔は疲れを露わにする。

「福井ラダメス聞いてくれ、また父上が無茶な話を…」
「お前たちの為と思って…」
「揉め事なら外でやってください!父上、兄上っ」

キッと睨みつける弟に怯むふたり。
遅れて入ってきた父の後ろの黒い集団は、入口付近で3人ずつ左右に分かれて中腰になり、
苛立つ福井ラダメスからは視線を逸らす。

「福井ラダメス…そんな顔するもんじゃないぞ、可愛いデコが台無しだっ」

いち早く弟の威嚇から立ち直った兄・阿久津ラダメスは弟の肩に手を置くと、
広めの額に自分の額を合わせた。
至近距離で囁かれるアニメ声に動じずに、弟は兄の手を払う。

「…父上と話していたんでしょう、私を巻き込むな」
「一日の終わりに父上と話すなど無益だ、それよりお前とこうして兄弟の語らいを…」
「…な、離せ…!」

もう一度阿久津ラダメスが肩を抱き直すと、福井ラダメスは離れようと身を捩る。
それを眺めつつ、父・ゾーザーは遠い目をした。

「…福井ラダメス、お前がそうやってちょっとイヤそうにする顔は亡くなった母にそっくりだ…」

うっとりと呟く父と身体を撫で回す兄…どちらに感情をぶつけていいか分からず、
福井ラダメスは溜息をつく。
阿久津ラダメスは父に向き直り、真摯な顔で口を開いた。

「…父上…福井ラダメスもいつの間にかこんな艶っぽい表情をするようになったんですよ」

兄の腕が腰を抱き寄せ、もう片方の手が肩から背中を撫で下ろした。

「…やめ…っ」

びくりと背を反らした福井ラダメスの耳元に阿久津ラダメスの唇が近付いて囁く。

「ほら、もっと父上に顔を見せて差し上げろ」
「…やだ…ッ阿久津ラダメス…!」

逃れようとする福井ラダメスは、耳まで真っ赤にしてふるふると首を振った。
その様子が尚も二人を駆り立てることを彼は知らない。

「お前たちの母も強気で、私はいつも怒らせてばかりだった…」
「あはははっ父上はちょっとMっ気アリですね」

懐かしむ父を兄は能天気に笑っていて、大きな身体で抱き締めた弟を離さない。
それどころか、服の中にまで手を入れて胸元をまさぐる。

「…っぁ、や…っ離…ぁ、ぁ…っ」
「そんな可愛い声出したら、兄さん立っちゃうぞっ」
「父上も立っちゃうぞっ」

「…あ…ぁっ…やぁ…っ!」

END
LinkIconNovel TOPへ戻る